今年こそダイビングを始めよう!ダイビングの面白さってなに?

私の趣味はスキューバダイビングです。
よく、「ダイビングって面白いの?」と聞かれるので、今回はその問いに対する答えを考えてみます。

Q.ダイビングの面白さとは何か

 

A.ダイビングの面白さとは、空間と時間を超越出来ることである。
それは、すなわちロマンである。

 

もう少し、詳しく説明します。

 

空間を超越する -海の中で空を飛べる-

 

これは、Amazin Things in the WorldというFBページに投稿された紅海の写真。

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このダイビングはいわゆる、「沈船ダイブ(レックダイブ)」と言って、沈んだ船に潜るダイビングです。

船が沈んだ理由は様々で、戦争で撃墜されたものや、事故で難破したもの、客寄せのために観光目的でわざと沈めたもの(ハワイのアトランティスはこの典型です)など、色々あります。
ただし、私たちレジャーダイバーは沈んだ船に海猿のように救助をしに行くわけではないし、水中考古学者のように何かを見つけるために調査で立ち入るわけではありません。
沈んでから時間がたって、既にご遺体の回収が終わり、安全だと判断された船に潜っていくことになります。

さて、上の写真をもう一度見てください。

斜めに傾いたまま着底している船に向かって、左下からダイバーが近づいています。
船にはコケや藤壺がつき、沈んでから時間がたったことを示しています。
この状態で、ダイバーは(安全であれば)船の中に入ったり、中が厳しいようであれば、甲板や船の外側を散策するわけですが・・・。

これが陸上だとどういう動きになるでしょうか。

人は、桟橋から船の甲板に行き、階段を下りて船内に入っていきます。
戻る時はまた階段を上って甲板に戻ります。

それでは、水中だと・・・?

縦横無尽に動けるのです。
船の船底を外側からつたって甲板に出て、廊下をつたって船内へ。
穴が開いた横壁から、再び船外に出ることもできるし、床が抜け落ちていれば船の底へ
階段を下りずに直角に深度を下げていくこともできます。

私は小さいころ、多くの子どもと同じように空を飛びたいと思っていたし
実際、頑張れば飛べると思っていました。

でも、飛べなかった。
夢の中では自由に動けていたのに、朝起きて、飛べるようになっていなかった時の残念な気持ちは今でも覚えています。
それが叶うのです。
空ではなく、真逆の、海の中で。

こんな素晴らしい経験はありません。

海の中では、陸上とは違った動きができるのです。

 

時間を超越する -海の中で過去と出会う-

 

さらに、海の中では時間を超越することができます。

この写真は2013年5月にミクロネシア連邦チューク州のラグーン内に沈む、「富士川丸」の甲板で撮影した写真です。

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第二次世界大戦の際、日本軍の貨物船だった富士川丸は、米軍の撃墜を受けてこの海に沈みました。
甲板は爆撃でぐちゃぐちゃですが、船底に積んであった零戦や一部船の計器などは原型に近い形で残っています。
海の中では、70年前と時間がつながるのです。

この羅針盤には「MANUFACTURED BY OSAKA NUNOTANI SEISAKUSHO HYOGOKEN JAPAN」と書いてあります。
この会社、調べてみたらなんとまだありました。
船の計器を作っている会社で、日本で一番古いそうです。
■布谷船用計器工業株式会社

海水につかった状態で、何十年も原型をとどめていられるの?
と疑問に思う方もいるかもしれませんが、
海の中で泥や砂が付着することにより劣化が遅くなり、結果として何百年も前に沈んだ船が発見されたりします。
流れが強いところだと厳しいかもしれませんが、ラグーンの中は比較的流れが穏やかなことが多いので、富士川丸もそういう理由で残っているということです。

下の写真は、当時の日本軍が使っていた救急箱。
二枚目は、お弁当箱とワイングラスです。

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また、この写真には「TOYO」の文字が見えますが、これは今でいう「トイレのTOTO」の戦時中の社名。

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70年の時を経て、目の前にある戦争の爪痕。
ゼロ戦については、「風立ちぬ」の映画にもなったし、多くの人がその形状や使用意図を知っている飛行機だと思いますが、実際に目の前にして、コックピットがありえない程小さいことや、機体自体も非常に小さいことを感じることは、陸上ではなかなか出来ない経験だと思います。
しかも、レプリカではない、本物のゼロ戦で。

一枚目:ゼロ戦のコックピット
二枚目:ゼロ戦の尾翼

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戦争の跡だけではなく、与那国島の海底遺跡など、古代文明の可能性を魅せてくれるロマンもあり、
海中の時間の流れは、陸上のそれとは少し違うところも、またダイビングの魅力の一つです。

(*余談ですが、この富士川丸は映画タイタニックの撮影にも使われた船。
映画冒頭で、沈んだ船にカメラが近づいていって、当時の豪華絢爛なタイタニックにフラッシュバックするシーンがありますが、その際使われたのが富士川丸です。ジープ島ダイビングに参加すれば、ジェイムス・キャメロン監督と潜った際の撮影秘話も、聞けるかもしれませんよ)

水中考古学系の漫画は、こちらがオススメ。

 

ダイビングとシュノーケルは全然違う

 
よく「わざわざ重い機材を背負わなくても、シュノーケルで十分じゃないの?」と言われることがあります。

ここは、声を大にして言いたいのですが・・・!
シュノーケルとダイビングは全く別物です!
本当に全然違うから・・・!

もし、潜る機会があったら、水深20mから太陽を見上げてみてください。

あんなに美しいものは、なかなかないと思う。

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自分が潜りたくて海の中にきたのに、遥か頭上できらめく太陽の光を見ると
「あの世界が私が生きる場所なのだな・・・」と感じます。
浮上して、水面に帰ってくる時の、感覚。
体が、酸素がある場所に近づいていることがわかる、あの感覚は、言葉で表すのが難しいのですが、病みつきになります。

よくサーファーは考え方がシンプルで物理主義ではないという話を聞きますが、
ダイバーも同じではないでしょうか。
人間が本来生存出来ない場所にお邪魔させてもらって、自分が弱い存在だということを知っている。
チューブ一本で自分の生命が保たれていることを意識している。

そういう中で、幼い頃憧れた空を飛ぶ感覚を味わい、時間を超えて、過去と出会う。

良いスポーツだなと思います。

ダイビングの魅力が少しでも伝わりましたでしょうか。

この魅力が一人でも多くの人に伝わるといいな、と思います。