最近読んだ小説まとめ

今年に入ってからまた小説を読むようになりました。実はここ数年、【てっとりばやく知識がほしい】という理由でノンフィクションばかり読んでいたのです。小説は、情報量という面から見ると圧倒的に量が少なくて、余白がたくさんあるものだと思っている私。
読んだ言葉が自分の中に染み込むまでに時間がかかるし、染み込んだからといって血肉になるかもわからないのが小説なわけで、ここ数年の私は、その時間が惜しいと思ってしまっていたのですが、最近、ものすごく小説読みたい欲が沸いてきて、一気に4冊読みました。

紹介していきます。

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羊と鋼の森/宮下奈都

 
 

 
2016年、第13回本屋大賞受賞作品。日経トレンディでは、「本屋大賞らしい大賞受賞作」として紹介されました。
ピアノの調律師を目指す青年のお話。言葉のひとつひとつが力強くて、読み終わった後に、凛として前を向きたくなるような作品でした。

以下、印象に残った言葉たち。

▶僕は調律という森に出会ってしまった。山には帰れない。

▶「この仕事に、正しいかどうかという基準はありません。正しいという言葉には気を付けたほうがいい」

▶「こつこつと守って、こつこつとヒット・エンド・ランです」

▶「知らないっていうのは、興味がないってことだから」

▶「明るく静かで澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」

▶「あきらめないことです」

▶遠く離れたところにいる僕は、学ぶことが砂のように多すぎて、岩をつかめない。

「いいんじゃないの。怖けりゃ必死になるだろ。全力で腕を磨くだろ。もう少しその怖さを味わえよ。怖くて当たり前なんだよ。」

▶「ピアノで食べていこうなんて思ってない」和音は言った。「ピアノを食べて生きていくんだよ」

▶「ただ、やるだけ」

「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。」

 

ままならないから私とあなた/朝井リョウ

 
 

 

「桐島、部活やめるってよ」や「何者」で有名な朝井リョウさんの新作。
「レンタル世界」と「ままならないから私とあなた」という2編の話が収録されています。

▼「レンタル世界」あらすじ
先輩の結婚式で見かけた新婦友人の女性のことが気になっていた雄太。しかしその後、偶然再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っていた。不可解に思い、問い詰める雄太に彼女は、結婚式には「レンタル友達」として出席していたことを明かす。

▶僕は、結婚式が好きだ。昔の仲間に会えるとか、酒飲んで騒げるとか単純にめでたいとかそういう理由ももちろん大きいが、なによりも、ものすごくきちんとしたふりをしている新郎新婦を見るのが好きなのだ。列席者には、本当はこんなにもきちんとした人間ではないことを知っている間柄の人間しかいないのに、みんなで着飾って共犯関係を築き、きれいなものしかない世界を作り上げているところがおもしろくってたまらない。

▼「ままならないから私とあなた」あらすじ
成長するに従って、無駄なことを次々と切り捨ててく薫。無駄なものにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。
幼いときから仲良しだった二人の価値観は、徐々に離れていき、そして決定的に対立する瞬間が訪れる。

▶その場所じゃなきゃ手に入らないとか、その人じゃなきゃできないとか、そういうのって意味あるのかな。

▶私が、他の誰でもない私なのだということ。何億の電極を着けられたって、真似したり、データ化してコピーして配信してインストールしたりなんかできないはずの、私。

▶自分自身では制御することのできない揺らぎを引き起こしてくれるのは、いつだって、心の中身も体の形も違う、自分ではない誰かなのだ。

▶お互いのすべてを理解しあうことなんて一生できないことを、お互いのすべてを知り尽くしてしまうことなんて一生できないことを、奇跡のようにありがたく感じる。

▶ままならないことがあるから、皆別々の人間でいられるんだもん

 

その女アレックス/ピエール・ルメトール

 
 

 
一時期話題になっていたミステリー小説。本屋大賞の翻訳小説部門で一位を受賞しています。
ネタバレになってしまうので、ほとんど話せませんが・・・。
ただ、ミステリーはスティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズを読んでしまい、それ以来これを超えるものに出会えていません。ミレニアムを読んだことがなければ、面白いに入る小説だと思います。あれはちょっとレベルが違いすぎる。
 
 

 
 

本屋さんのダイアナ/柚木麻子

 

 

女の友情、羨望、嫉妬、焦燥、そういうものを書かせたら右に出る人はいないんじゃないかと思う、柚木さんの作品。
さらに、舞台が女子校なことが多いので、女子校出身の私には共感しやすいです。

▶誰かのお母さんになるとね、自分の下に名前があることを忘れちゃうのよ、時々

▶床板の間に、ぎっしり詰まったほこりを見つめる。こんな時なのに、とがった定規の先でぐいぐいとえぐり出したい思いに駆られた。小学校の掃除の時間、彩子と意味もなくほこりをほじくり出して、くすくす面白がっていたことを何故か思い出す。

▶本当に怖いものも汚いものも知らなかった。これ以上ないほど彩子に優しかった世界は今日で終わった。

気になったものがあればぜひ!